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 1 対象会社の企業価値に影響を与える法律上の問題点の指摘

対象会社の企業価値に影響を与える法律上の問題点(買収後の事情を除く)は、以下の三点に集約されます。以下、この点について説明を行います。

  1. 簿外債務の存在
  2. 法律違反等の存在
  3. 契約違反等の存在

 2 簿外債務の存在

簿外債務の発見は、主として財務DDの役割となりますが、法務DDの調査結果によっても簿外債務が発見されることがあります。その典型例は、未払時間外労働手当すなわち未払残業代です。

我が国の構造的な問題ではありますが、多かれ少なかれ、大多数の企業は未払残業代という簿外債務を抱えています。この金額算定には、労働基準法等の細かい知識が必要となり、財務DDメンバーが独自に算定することは通常困難です。そのため、未払残業代については、法務DDメンバーが算定した金額を財務DDメンバーに伝えることで簿外債務として扱うことが一般的です。


また、契約書を精査した結果、会社が保証債務を負担していることが判明することもあります。この保証債務についても、状況に応じて注記や引当処理を行う必要があります。その他、簿外債務については様々なケースが想定されます。もっとも、どのような簿外債務を対象会社が抱えているかは、法務DDや財務DDの調査結果次第であるため、一概に類型化することはできません。

 3 法律違反等の存在


主要な業務として扱っている事業が法律に違反している場合、後に損害賠償請求等を受けるおそれがあります。例えば、主要製品が他社の特許権を侵害している場合や、製造物責任法に違反している場合など、高額な賠償請求を要求されるおそれがあります。
これらは、簿外債務又は偶発債務として認識する必要があります。修正貸借対照表にも反映する必要があるか検討するためにも、法務DDメンバーから財務DDメンバーに情報提供を行う必要がある事項となります。

 4 契約違反等の存在


法律に違反していないとしても、取引先と交わした契約書の内容に対象会社が違反しているという事態は、往々にして見られます。

具体例をあげますと、賃貸借契約では契約書上、転貸禁止とされていることが一般的です。そうであるにも関わらず、関連会社に無断転貸していたり、フランチャイジーに無断転貸しているという事例も散見されます。このような場合、賃貸人は契約違反を理由とした解除権を有することになります。また、再委託禁止条項に違反して再委託を行っている場合や、機密情報を外部の第三者に漏えいしているという事実が発覚することもあります。


このような契約違反の事実が生じている場合、契約の相手方から損害賠償請求を受けるおそれがあります。また、重要な契約が解除されてしまうというおそれも認められます。これらの簿外債務又は偶発債務は、企業価値に影響を与えることがありますので、適宜法務DDメンバーから財務DDメンバーに情報提供されることが好ましい事項となります。