Q13. 管理職の肩書きを付ければ時間外手当を支払わなくて良いのですか
A. 管理監督者の肩書きだけであり、管理監督者としての実質を有していないのであれば、原則通り時間外手当を支払わなければなりません。
時間外手当、平たく言えば残業代ですが、管理監督者には、この手当は認められません(労働基準法第41条2号)。また、残業代に限らず、休憩及び休日等に関する労働基準法の規制も除外されるため、休日手当などについても発生しません。管理監督者は、労働時間、休憩及び休日等による規制の枠を越えて活動することが要求される地位にあるため、労働時間等の規制が除外されているのです。
もっとも、平社員に対して「部長」などの役職を付ければ、直ちに残業代の支払義務を免れる訳ではありません。管理監督者といえるためには「一般的には、部長、工場長等労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者の意であり、名称にとらわれず、実態に即して判断すべきものである」とされています。
具体的な判断要素としては、職務内容、責任、権限、勤務態様、基本給や賞与の額、出退勤について厳格に管理されているかなどの事情を総合的に考慮して判断されることになるでしょう。
東京地方裁判所平成9年8月1日判決によれば、管理監督者の判断につき「労基法が規制する労働時間、休憩、休日等の枠を超えて活動することが当然とされる程度に、企業経営上重要な職務と責任を有し、現実の勤務形態もその規則になじまないような立場にある者を言い、その判断にあたっては、経営方針の決定に参画し、あるいは労務管理上の指揮権限を有する地位にあるか否か等を具体的勤務実態に即して検討すべき」としています。
そして、このケースでは、課長や所長という役職が付されているものの、タイムカードにより厳格な勤怠管理を受けていること、営業方針を決定する権限や具体的な販売計画等につき経営方針の決定に参画する立場になかったことなどを指摘し、管理監督者に該当しないと判断し、残業代等の請求を認めています。
このように、名称のみで実態を伴わない管理監督者については、原則通り労働基準法の労働時間や休日の規制がなされますので、注意が必要と言えるでしょう。








![著書: [弁護士がきちんと教える] 交通事故 示談と慰謝料増額(あさ出版)](../img/ban_book05.jpg)
