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収益還元法に基づき株価算定を行う際に、非流動性ディスカウントを行うべきかという点につき、平成27年3月26日に最高裁が否定的な見解を示しました。

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日本経済新聞H27.3.31朝刊

非流動性ディスカウントとは、上場株である場合には市場で原則としていつでも自由に売却できるところ、非上場株の場合には市場が存在せず売却が困難であることから、その分減額させるという扱いを意味します。

収益還元法を用いた株価に非流動性ディスカウントを実施するかについては、実務上でも意見の相違が見られました。

ただ、この点については、論理的には否定すべきだと考えています。

収益還元法は、将来収益をWACC等の割引率を用いて評価する方法です。

そのため、収益還元法は、将来収益の現在価値の合計でしかなく、収益還元法により算定された株価は、市場の取引価格とは無関係な金額といえます。

従って、収益還元法により算定された金額に、非流動性ディスカウントを行うということは、論理的には整合しません。

 

最高裁決定も「収益還元法は将来期待される純利益などを基に現在の株価を算定する手法で、市場での取引価格との比較という要素はこの手法の中に含まれていない」という理由により、収益還元法に非流動性ディスカウントを適用することを否定しています。

これは、上記理論に整合するものと考えられます。

 

今回の最高裁決定により、今後収益還元法を行う際に、非流動性ディスカウントを適用することはなくなるでしょう(DCF法にも該当するでしょう)。

ただ、非流動性ディスカウントは、WACC等の割引率に加味することにより対応可能ですし、論理的にもこの手法は問題ありません。

そのため、今後は、非流動性ディスカウントを外出しせず、中入れの方法により適用していくことになるでしょう。

 

なお、今回の最高裁決定は、収益還元法に非流動性ディスカウントを適用することを否定しただけであり、類似会社比較法等について非流動性ディスカウントを適用することまでを否定した訳ではないので注意が必要です。